野/山崎 風雅
 

 道端の隅に
 排気ガスにまみれながら咲く
 一厘の小さな草花

 名前さえ
 呼んでもらったこともなく咲く
 その花

 誰もが
 気づくこともなく
 通り過ぎていく


 
 はじめて
 私を見つけてくれたその人の目は
 温かかったけれど
 淋しそうだった

 すぐに分かった

 あぁ この人も私と一緒なのね

 頑張って
 咲いてみて よかった

 はじめて私の名前を呼んでくれたのだもの

 こんなところに咲く
 私を見つけてくれたのだもの
 



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