スチュワーデス・ケイコ/たもつ
な顔でアイスコーヒーを持ってくる
仕方なく死に関連するところを消しゴムで消していく
今まで書いたことのほとんどが消えてしまったし
これから書こうとしていたことのほとんどが書けなくなった
何故俺の周りはこんなにも死人ばかりなのだ
人間ばかりではない
ひよこも出目金もミドリガメもヤモリもイモリも飼犬も飼猫も皆死にやがった
「誰もが皆いつかは死ぬのよ」
そうかもしれぬ
だが、それが俺たちの生きていることの理由になるのなら何だというのだ
「好きよ」
ああ、好きだ、ケイコ、俺はおまえが好きだ
ケイコ、何故俺たちはいつも愛し合うことができないんだ
記憶の中で悲しいのはおまえだけじゃない
他に御用は?というケイコの声が色も無くはみ出している
高度41,000フィートの空
ケイコは最早ケイコの体をなしていない
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