文法について/パンの愛人
 
のだろうが、それについてはとかく言ってみてもはじまらないだろう。

 たとえば、「1」に「自らの経験と知識にもとづきつつ直観によって把握」とあるが、この「経験」や「知識」や「直観」を支えるものが何であるのかがまったく不明である。それに「一種の経験則」といっても、私たちの認識はすべて経験に則ったもののはずである。これを逆から言えば、認識能力があるからこそ私たちはそれを経験できるのである。

 はっきり言ってしまえば、ここで言われている「文法」というのは、すでに明文化された個別性を帯びたものを指しているのでしかないと思う。
 私は「私たちは文法規則を知ることができない」というところからはじめ
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