春の海鼠/ふくだわらまんじゅうろう
 
以上に惨めになりたくなければ騙されてやるんだな」
「おまえが何処へ行っていたのか俺は知っているぞ、ああ、知っているとも」
「この薄暗い海の底で誰が石油の埋蔵量のことなんて考えるもんか」
君が生きているのは君が生きているからなのだ
詐欺のない結婚なんてものはない。あるとしたら韓国ドラマの中だけさ。これは彼らの特許だからね(レシピはたしか儒教1/4に基督教1/4、それを母親の愛情たっぷりの人参ジュースで割って、掻き混ぜすぎないのがコツ)

窓の外には恵みの雨がざあざあ降っているんだよ
油揚げをトースターで炙って葱醤油をのせたのをつまみに発泡酒でも呑もう
くよくよしなよ、こんな星のひとつやふたつ
そんなことより、今あんたの口の中に入っているものの一噛み一噛みが大切じゃあないのかい?
いいってことよ。みんな同じDNAで繋がっているんだから
ここいらはとても静かでいいじゃないか
まるで春の海の底に眠る海鼠のようだ





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