埋葬/北野つづみ
別れを告げるための時間と
別れを告げるための言葉
小鳥にはふたつともなかった
死は
あまりにも突然訪れたので
空のほかには誰も見ていなかった
体には傷一つ無く
見開いたままの目は
驚きの色に染まっていた
温もりが消えればただの石になる
冷たくなった体を土に埋めた
その土のうえ
今朝はうっすらと雪が積もっている
根雪にはまだ早いから
昼にはすっかり溶けてしまう
今日からは
雪はいく度も降っては溶け
降っては溶けしながら
地表の温度を次第に下げてゆくのだ
秋はゆっくりと埋葬される
別れを告げるための時間と
別れを告げるための言葉が
あなたに与えられていること
それが呪いなのか祝福なのか
定まらないままに
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