チャイルドロック/山中 烏流
 



うつらとする瞼の外で
父が
少し待っていなさい、と
後部座席のドアを
勢い良く閉めて
私は
一人きりになった
車など
運転することはできないから
そこに居る意味など
無い、というのに

母と妹は
仲良く手を繋ぎ
スーパーへと続く階段を
さも、楽しげに降りている
ここからは
そこから発せられる声が
良く聞こえるものだから
何か、悔しさにも似たものを
覚えてしまう


煙草の匂いが染み付いた車内で
父の足音が/ゆっくりと
遠ざかるのを聞く

追いかけようにも
鍵、以外の何かで
閉じ込められているらしく
横にスライドする筈の扉は

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