私の目が赤い理由/光井 新
た枝垂れ桜が優しく微笑んでいる様でした。何だか其れは恋に似ている気がしました、まだ子供の私には良く解らない筈なのに、そんな風に思いました。あまりにも綺麗だったので、ついさっき迄怖かった夜が私は大好きに成りました。
蒼い闇の中、懐中電灯など持っていない私は、月明かりを頼りにパンちゃんを探しました。だけどお庭の何処を探しても、結局パンちゃんは出てきませんでした。
疲れた私は、枝垂れ桜の根元に座って一休みする事にしました。此処から見る景色にはピンクのモザイクが掛かり、見慣れたお家もいつもとは少し違って見えました。面白く成って色々な場所を見回していたら、お隣の佐藤さんのお家のお庭にパンちゃんが落ち
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