いろのないせかい/長谷川智子
 
真上から一直線に射す光 
眩し過ぎる 
けれど見開き続ける 
岩陰から動かない 
考える人とモアイ像のあいだみたいな固まりかたで 
咲きはじめた雑草の花を踏みつけながら 
土の「そこにある」頼もしさをかんじる 
鼓動 波動 
すごくイイ 
茜色に空が染まるころ ようやく足がしびれていることに気づく 
ぼくにはその赤々しさが判らない 
いつかどこかの写真展で見た黒味のつよいやつ 
ちょうどあのかんじ 
暗い 
いつか見たサーカスは光ばかりつよくて気持ち悪くなったし 
ミラーボールを何度も素手で叩き壊す夢を見る 
殴るたび黒ずむ手 
ドロッ と 
ヌルッ と 
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