断頭/片野晃司
 
たし
潮が満ちてくる
そして忘却
首切られたわたしたちの数
首切ったわたしたちの数
杭打たれ
焼き払われ
掘り返され
埋められ
忘却 そしてまた断頭
杭打たれ 焼き払われ
そしてまた断頭
いま
刃がわずかにうなじに触れる
その一瞬を分割し
わたしはまだ
瞬きをすることができる
その声を聞き
わたしはまだ
記録することができる

忘れられた
降りそそぐ六角柱のこと
未帰還の少年兵のこと
死者の数

縦型の船の白い頭部が
海面へ向かって静かに墜ちていく
その一瞬が
いつまでも続いている

呼びかけの声は
まだ聞こえる
ランギーユ!






詩誌「ガニメデ」2006年4月


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