フリカエル/
 
このてのひらには

なんにも無いね


これからは
ひとりきりで長い旅路を歩かなきゃならないってのに


会話のあいだにもれるため息はまだ夢をみている



運命線をたどって


いつかまた夢をみて

茜さす教室の窓に映った
あの時の自分の


まだ美しかった顔に

少しずつさよならを言おう


またね、と一言添えることを忘れずに



何度でも夢をみる

寂しさを飼いならして
ため息をつきながら弱さと肩を組んで

ずっとずっと迷い続けながら

口笛なんかも吹けるだろうか


人生そんなに捨てたもんじゃないと嘯いたりして


幸せという言葉に憧れつづける




まだてのひらには

何にも無い



空が桜の花で曇る頃には



何か新しいものを

今まで通りの日常を
これから先の未来を


自分が生きてきた時間を



少しは綺麗だと言えるようになっていたいな





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