風船のいのち /服部 剛
 
誰かの顔を描いた 
風船が 
空気いっぱい膨らんで 
爪楊枝の一刺しで 
ぱん・・・!と消える 

縮んで地に落ちた 
ゴムの亡骸 

すべての人は 
いつか 
こうして空気中に溶け去り 
親しい人々に 
想い出のしゃぼんばかりを遺し 

何処かへ
ひろがってゆく 




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