街/壮佑
 

―朝

ビルの階段を降りて行くと
何かの軋む音がする

たくさんの
時間の積み木が
押し合い
こすれ合って
順番を決めている

―歩道を歩く

山桃の並木が
慌てて生えてきたように
ぎくしゃくと
落ち着かない様子

―風が梢を整える

向こう側の歩道を
ストッキングを履いた
足だけの人が歩いて行く

だんだんと
胴体も付いてきた

―疾走する音と残像

アスファルト道路の
濡れた表面に広がる
細かな光の粒々

ひとつひとつが
お喋りしながら
舞い始める

―視線は向こう側へ

光の中から
街が現われた





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