生きていることのめぐりを感じる詩集 続 安藤元雄詩集/イダヅカマコト
ありふれた草むらの色であってはならぬ
ホザンナ
ホザンナ
と わめきながら行進する仮面たちの奔流をよけて
おれが危うく身をひそめる衝立だ
さもなければ
木っ葉のようにそこに打ち上げられるためのプラットフォームだ
いや 彼らの中に立ちまじる骸骨の やぶる帽子のリボンの色が
ともかくもここに緑を置く カドミウム・グリーン
これでいい これでこの絵も救われる
おれもようやく仮面をかぶることができる
白く塗りたくった壁に
真っ赤な裂け目を空けて笑うこともできる
秋も終るか 街路にいると秋はわからない
どうしても上へ上がろうとしない日ざしでそれと知るだけだ
こおろぎもも
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