降り出し/しべ
 
単線の川を何本も越えて
夏も冬も残滓などという
あやしい斑点に化ける

枕の肌木に叩きつけるのは
雨粒より緩やかに傾斜した海

星なんて数駅も前から消え失せて
今は小指の先に宿る鈴蘭ような光しかない
補色された緑の匙の縁どり
下段の子供は静かに寝てる

読み始めは古い童話
やがて無言の受話器が海を書きなぐり
雲の下の連結器から
白鳥座まで繋がるダイヤになった

あとまだ8駅
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