透化/山中 烏流
 





紡いでいく
で、あろう/はずの
ことば
と呼ばれたものは
意識、という
こころのざるで
ふるわれたのち

いつも
肝心なところだけを

失ってしまう



     *



わたしの好きな
ことば
たち、には

一つも
中身が見当たらない


まるで、透き通るみたいに



     *



たとえば
てをにぎる/ささやく
ような
ほほえむくらいの
そんな
ささやかないとしさが
つのったとしても

それが
くちびるからすべりおちて
ことば
として、つたわるころ
には


きっと、からっぽだ




     *



聞き返される度
段々と
薄れていくような、錯覚

五回ほど
同じことを伝えたら
何がほんとうか
分からなくなった



     *



わたし、透明なのかもしれない



     *












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