産声/たちばなまこと
そうゆうんじゃない
肌に頬を押しあてて
脈打つ血の
ほんとうの色が浮き出すのを待ちながら
したい理由をききたい
耳もとで
吐く息にまぎれ込ませて
「どうして…?」とききたい
衝動にもゆえんがあるはずなんだ
その 手首を押さえつけるちからにも
嘘でも
絶対的な嘘を
愛とか好きとか
ぶつけるたびに言ってほしい
顔に蒔かれるのは嫌い
ひとりになるから
くちびるも産道も内蔵への入り口
ヒトのなかのけものが
嘆くように叫ぶように呼ぶ
ひとりにしないで
つながっていて
火だねをください
たとえばふたり
結婚初夜
ペールイエローの月明かりのもと
それは命
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