カオリへ。/結城 森士
 
君は俺の事を好きといってくれたのに
俺は君の事を好きだといえなかった

君は何度も俺の名を呼んでくれたのに
俺は君の名を呼ぶ事を恥ずかしがった

でも一方で君は
ほかの人にも愛を求め
多くの人から愛されたがった

俺はそれが嫌だったんだ

けど
嫌だ、嫌だ、と思うだけで
君の本当の悩みを聞く事も
結局は出来なかった

やっぱり俺は
本当の意味で君の力になる事が
出来なかったみたいだ

君は俺にさんざん愛を求めた挙句
俺に向かってこう言った
本当に好きなのはヒロ
私はヒロじゃなきゃだめなの
って

残念だけど
俺はヒロじゃなかった
本当に残念
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