支線/
しべ
電灯が砂の雨を遮る
右肩がざらつく
悴んだ小指
血の管が萎れる時は
無力だったと思う
音は暗い風の下
焦げた海には
おとなしい月が泳いで
引き込み線にお辞儀していた
やがてトロッコが迫る
この先の蒸留所まで
ドロドロの小箱を引っ張るらしい
むかいの寝台に足をかけ
隙間の淀みに横たわる
蒸気のほうは
なんだか
不思議な色になってる
葡萄のような
古い駅だ
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