微笑/山中 烏流
・夜中の話
機械音に身を捩じらせて
母が咳を漏らす
その光景に
何か言葉をかけそうになる私が
ひょこりと顔を出した
しかし
少しだけ、しか浮かばない謝罪なら
むしろ
無いほうがいいのでは
ないだろうか
そう辿り着き
取り敢えず、毛布をかけ直しておく
跳ねては響く音が
高い天井と
無意味に手を繋いでは
私の耳元で
うるささを競い合っている
溜め息の音すらも響きそうな
そんな、空気感に
むしろ
溜め息を漏らしそうな
私が、いる
ふらふらと
部屋の中で歩き回る思考は
とりとめもなく
いろい
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