微笑/山中 烏流
 




・夜中の話


機械音に身を捩じらせて
母が咳を漏らす

その光景に
何か言葉をかけそうになる私が
ひょこりと顔を出した

しかし
少しだけ、しか浮かばない謝罪なら
むしろ
無いほうがいいのでは
ないだろうか

そう辿り着き
取り敢えず、毛布をかけ直しておく


跳ねては響く音が
高い天井と
無意味に手を繋いでは
私の耳元で
うるささを競い合っている

溜め息の音すらも響きそうな
そんな、空気感に
むしろ
溜め息を漏らしそうな
私が、いる



ふらふらと
部屋の中で歩き回る思考は

とりとめもなく
いろい
[次のページ]
戻る   Point(7)