女に香られ/K.SATO
ひどい虚しさへ向かって流れていく通り
コーナーはグラスで緑に輝き
液晶テレビのスタジアムは
辺りで沸き立つ季節を問うように
選手たちがスタジアムに吹きすさんでいた
半袖に北風を眺めていると
熱狂の渦を走り回り
カウンターのウイスキーに女の子が浮かんだ
現実を押して会社へ戻りなさい、というその声は
消えそうで どうでもよかったが
未来がドアーにゆらめいて 逃れていく心に
忘れかけた楽しさが柔らかな彩りでやってくる
泥酔したこの手は瞳にあるべきではない
錯覚の気もする
けれど変わらない 僕の涙そのものとして
サッカーボールに街を流れ出ていった
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