陰の器/アングラ少女
 
稚き珍獣を背に浦浪をのぞむ岡辺に
がんぜない甲の稚児の自?を睥睨しながら
老婆の
痴呆た癇声に
方位を
とる錨で均斉のとれた
煙管の 雁首で烙印つけた軒板の

蔵に

入り

寝かせた
空樽の
上で、老酒をあおる
やがて熟眠から
さめた朋輩の俤が盥の
脂ぎった戯女を負ぶりひくひくと
褪色した頬を攣りあげてぎこちない
足つきでにじり寄る 

史料として杯の幻想を殊にも美きひとの焦心を
諌めるためにたちまち醜男の痩せた咽喉が乾し


両棲類の遁げこんだ白栲の涯ない瓣の穴から
錯覚
の配列の中心を測る
我々に与えられた動作、の因襲と 機械的に
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