二千九年、LOVE/捨て彦
 
まッた会合である。洒落たツマミなど無くとも面子と酒さえあればダラダラと時間を浪費出来る、詰まらない話題でも態々膨らませ馬鹿を云える様な、彼らはそういう連中であッたが、其れとは別にもう一方の肴もあれば尚更嬉しいと云うのは何処の世界も此れ万国共通の儀であッて、彼らとて例外では無い。また時として此方の肴と云うのは此れだけで満ち足りる場合も多々ある。今回の場合は其れが芙蓉の連れてきた友人と云う事につき、伊藤とナンシイは顔には出さぬが実際は心待ちにしていた所が多分にあるので、反面男心の分からぬ橋田は其処までは期待していないものの、矢張り何処かマンネリしていた空気に流れ込む一筋の風に対して気を掛けずには居られ
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