二千九年、LOVE/捨て彦
ア、気にならないッてのが嘘でしょう。」
「そりゃそうだァー、へへ。おい橋田、酒呉れ酒」
橋田は云われた通りにナンシイのGlassに酒を盛る。此の橋田と云う女、特に必要のある時以外は終始無言で動作を行う。其れを最初は皆一様に奇妙と感じた物だが、幾度か交流を深めて行く内に皆彼女の作法に慣れてくる。彼女の所作から言動を読み取る事も出来るように成る。
「… ……」
「おッとッと、エヘ。サンキュウサンキュウ。ッたく、お前はもう一寸他人と会話しないと不可ないよ。今日の大和撫子たる者愛嬌が最重要なんだから。」
「…… …」
「マァー、黙ッて酒注いで呉れる所が好かッたりもするんだけどねェ」
「橋田さ
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