二千九年、LOVE/捨て彦
伊藤正三がこれから向かう会合というのは所謂身内仲間で毎年何度か行う恒例行事のようなもので、最初は少数のやもめ連中で集まッていたのが何時の間にか十五人ほどに膨れ上がりその後は減ッたり増えたりを繰り返して現在に至ッている。
減ッたり増えたりする理由は様様であるが、暇な連中が主催する会合に来る者は何所かしら皆似た者ばかり、暇な人間の暇な友人であッたり、前日の合同コンパの後他人で無くなッた女をその侭引きずッてきたりと其其何所からともなく同類を連れてきては此の平屋に車座に四方山ッて、その侭朝迄飲み明かすのが常であッた。
今年も始まり春が来ると手始めにまず一度会合が開かれる事と成る。既に出来上がッている橋
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