修羅を読む(10)/Giton
世と死者の世界とを往復しているという信仰は、広くあったらしいんです。そのもとをたどれば、照葉樹林文化になるのか、先史の長江文明になるのかわかりませんけれども、現在でも、タイ北部では、トラックの上に大きな舟形を乗せて、櫂を漕ぐ鳥に扮装した女性をおおぜい乗せて、高僧の葬式をしているそうです。
そこで、賢さんに戻りますと、花巻の町の近くに、松倉山、五間森という2つの山があって、おそらく火山岩頸だと思うのですが、里から見ると、舟を伏せた形をしています。つまり、頂上は、ほぼ水平に長い尾根になっていて、斜面はきわめて急です。これらの山には、道が(杣道も)付いていません。里に近いのに道が付いていない山という
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