空爆/楽恵
その時 私はまだ幼い少女だった
まだ言葉を覚えぬ少女だった
ただのひとことさえ 言葉を知らなかった
ある朝 目が覚めると 空は真っ青で 雲ひとつなく どこまでも晴れていた
ただそれだけで 少女の私は
世界のすべてが愛しいと想った この空のすべてが愛しいと想った
ほんとうに 狂おしく 息苦しいほどに 胸が潰れるほど いとおしくてしかたなかった
その愛が 頂点に達した瞬間に 私の頭上で 何かが爆発した 大爆発した
空は一瞬すべてが白かった
すべてが真っ白であった
そして気がついたら 何もなかったように 辺りは静まり返っていた
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