夢/壮佑
 

白っぽい視野の中に
草の生えた道があり
知らない樹木が立っていた

母は和服を着て
道にひとり佇んでいた
すると向こうから
何年も前に死んだ父が歩いて来た

ぱりっとした背広を着た
青年の頃の父だった
母は懐かしそうに父に近づくと
ふたことみこと話しかけた

父はたいそう照れながら
何か言葉を返している
父の背広の袖に触れるたびに
母は若くなってゆく

やがて父は母の手を取り
後ろ姿の若い二人は
まだ私の生まれていない
夢の奥へと消えて行った





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