僕の心の途中下車/K.SATO
 

長い階段を登り切った僕は
僕を山手線へ、地下鉄から減速と
加速を交互にくり返している人の改札にのまれながら
なくなっていくような街の喧噪を出ていった

僕の目には上野の通り
たむろする脇の看板に
夢の鈍さがありつつも歩き続けられていく
だけど捕まえられない その過去に

アメ横の文字をくぐっていく
足が絶えずあった
この極彩色は
昔入ったことがある

カレー屋の横の店にも入ったことがある
連なっていく通りを行く あの娘にこの店 この浮浪者
一個の自分に今は しかし追う場所があるのだと

連れ込まれたのはいつの事だったろう 女の子が嘆いていた
過ぎた手に輝いた下着のカラーを失いかけては
幻がすり抜ける公園を凝縮していく
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