交差点の真ん中で/かのこ
 
右斜め、肩の上にはいつも
くだけた表情の君が当たり前のようにいて
「ずっと傍にいる」とささやく、涼しい風が
耳元に吹いてきた、冬が始まる予感を読んだのでした

目を閉じれば風向きが変わったこと、聞こえる
いたずらに頬を撫でて撫でて、赤くして
走って去っていった小さな吐息が
飲み込まれていく、いつもの交差点の真ん中で、ね

信号が青に変われば、当たり前のように歩き出す
いつの間にか曇り空になっていた君が踏み出す右足と
あたしの一歩は君の一歩半分、いつも早足で
当たり前のように、それぞれの道へ歩き出すのでした

右斜め、肩の上にはいつも
くだけた表情の君が当たり前のようにいたはず、なのに
「さようなら」とささやく、冷たい風が
耳元に吹いてきた、春が始まる予感を連れてきたのでした
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