CD−Rまで/天野茂典
 
   

眠い。なんとしても眠い。
ご飯を食べると、必ず
眠くなる。どしようもない。
瞼が接着剤になる。
眠るわけにはゆかないのだ。
冷たい麦茶を飲んだ。
いくらか目が覚めた。
この調子だ。
眠ていたのでは闇だ。
パソコンにむかう。
文字を入力する。
ゆっくりゆっくりことばを
つむいでゆく。
二重螺旋のDNAのように
ことばがつむげれば
もう目が覚めた証拠だ。
なんでもいい。
ことばを出力するのだ。
INPUTから
OUTPUTへ
電流を流すのだ。
どうでもいい。
ばらばらでいい。
おきてることが重要なのだ。
もう2年間も睡眠時間が
一日2時間なのだから。
おきていることが
詩の一行をよびおこす
きっかけになるのだ。
詩はそうして
あたりを待つことなのだ。

平川病院 デイ・ケアにて
20004・8・20

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