絶望についての対話(1)/Giton
 
て行ったのです。
 そして、ある時、私は、備蓄がすっかりなくなっていることを親族に追及され、思いあまってΗに相談したのですが、その時から彼の暴力が始まったのでした。私は毎晩のようにΗに殴りつけられ、身体中に彼の歯形を付けられました。私は彼から、アドニスの技はそのようなものだと言い含められ、そのように信じていたために、抵抗すらできなかったのでした。Ηは、しばしば女を連れてきて、私をいたぶることさえありました。彼は、私の意志を圧さえつけて従わせるために、そのようなことをしていたのだと、私は今だから分かるのですが。
 私は小屋へ帰りたくないので、羊たちを囲いの中へ戻したあとは、しばしば星の下で夜を明かしたものでした。
 最後に、私は小屋も羊の群も放り出して、港でガレー船に身を投じ、船倉の漕ぎ奴隷に紛れて、このエジプトの町に逃がれてきたのです。
 ((2)へ続く)

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