生きることを肯定してくれる詩集 『ドストエフスキーの青空』/イダヅカマコト
 
いう詩は人の言葉で死を探り当てようとします

死はどこへ言ったのだろうか
取り残されてあたりを見廻すと豊かな
森の中にないものが一つだけありました
それは
悲しみです
森には悲しみがなかった

わたしは再び見つけたのです
湿った杉苔の裏側で虫の死骸を見つけるように
悲しみの裏側に隠れていた死を

森にはない
森ではない、
人には悲しみが残ります
いなくなったことを悲しむ人の
心の中に
死はやはりありました


「悲しみの裏側に隠れている死」。
言ってみればなんでもないのですが、
この言葉を取り出すために
宮尾さんが画面の中の森と自分のこころの中
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