堕天使/三州生桑
た。目と鼻のさきにトイレがあるのに! 私が車に乗ってるのに! まだ猫たちは食事中なのに! ・・・先達て車を停めた時、そこだけどうして湿ってゐるのか不思議に思ってゐたのだが、さういふわけだったのか。私は息を止めながら、パワーウインドウを閉める。
彼は運転席に戻り、煙草を吸ひながら新聞を読み始める。私は何だか怖くなり、そうっと車を出す・・・彼は私のことなど一顧だにしなかった。他人に、人間に興味がないのだ。
猫公園をあとにしながら、堕天使とはあんな感じなのかも知れないなと、ふと思った。
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