『霧の海』/あおい満月
 
 白い霧の海が
 みつめている
 囁くように
 
 「この道を歩きなさい
 だけど未来は保証しません」

 誰かの
 冷えたことばを
 思い出す

 眼下に広がる東京湾は
 白く黒いもうひとつの空

 いきる術さえ
 飲み込んでいく

 列車は街を横目に
 走り過ぎる

 人々は
 ポケットのなかの
 カオスを弄びながら

 向かうべき
 それぞれの
 場所へ向かう



                          2009.2.25(Wed)

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