ニューアンティークバード/千月 話子
 

買ったばかりのアンティークの電気スタンドを眺める
フレアスカートのように広がった
ランプシェードに住む小鳥は 確か2羽
反する木の枝に止まっていたような


月と星 あるいは惑星と呼ばれるものが
今夜 もっとも近づく頃
何気なく手に取った
古い純愛小説など読んでみる


左指がページをめくると2人は出会い
右手の平が危うさを受け止める
ゆっくりと流れる時間が
もどかしい と読み進める21世紀の現在
最終ページで2人は初めてキスをした


枕元を照らす丸く柔らかな光りの中で
作り物の小鳥が(確かに)チチチと可愛く鳴いた
物語は朝焼けの雪道に残る足跡を輝か
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