賢治ノ星 /
服部 剛
きなおせばいい
( 擦り剥いた膝小僧に血を滲ませ
( 独り哂(わら)って立っている
( 私はデクノボウの化身です・・・
今夜も頼りない後ろ姿で
とぼとぼ歩くこの背中を
不思議な夜風の掌(てのひら)が
いたわるように
押すのです
誰一人いない
冬の深夜の冷たい道に
独り立ち
オリオンを仰ぎながら
音の無い声で( 賢治さん )と叫んだら
冬の星空の間に
一瞬
流れ星が、尾を引いた
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