賢治ノ星 /服部 剛
地下鉄の風に背中を押されて
階段を下れば
ホームの端を
黄色い凸凸道が
何処までもまっすぐに伸びていた
いたずらな風が
吹けば
すぐによろつく私だから
凸凸道の内側を
踏み越えぬよう
無心で歩いてゆけばいい
( ほんとうはもう
( 銀河を走る列車以外に
( 私の乗りたいものはない・・・
地下鉄の風に抗いながら
階段を上がれば
地上の歩道を
盲人用の凸凸道が
遠い暗闇に向かって刺さっていた
気まぐれな風が
吹けば
道を踏み外す私だから
もしも脱線した時は
何度も戻って
また歩きな
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