愛素珈琲名家/青の詩人
 
アイスコーヒーの宇宙に
流す白を
昨日借りてきた名作のイメージに喩えて
忘れたものを探しに行こう

切符が片道しかないなら
もう戻らなくていい

潔く海に溺れたなら
人魚に会いにゆこう

そんな不明瞭なリリックで
スプーンからあふれそうな今を溶かして
この夜は煌きを始める

とりあえずここで休んでこう
まぁそう言わずに星でも眺めてこう
けど僕の隣にはもっと綺麗なもんが
座ってたっけなぁ
座ってたっけ

伝えたいことなんかこれっぽちもないんす
そばにいてくれるだけでいいんす
俺のつくる詩なんか350円の潤いにすら負けちまうから
なんとなく夜に浮かべるだけでいいや
そっと寄り添うだけでいいや

値段のつかないもんを
名前にすらならないもんを
最近はもう少し大切にしたいと思うんだ

そんな感じで宇宙の消えたグラス
残された冷たい記憶を齧るくせを愛して
溶けてなくなる定めなら 
せめてこの暗闇で


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