『石の鼓動』/あおい満月
 
 石をみている
 石の奥に映る光をみている
 石の奥に映るわたしをみている
 石の奥に映るわたしの瞳をみている
 石の奥に映るわたしの瞳に映る光をみている

 石とわたしのあいだには
 わたしと風しかいない
 
 石とわたしのあいだには
 わたしと空しかいない

 けれど
 石には無限の世界がある
 石には無限の虹がある

 わたしの瞳にも
 唯一無限の何かがある

 わたしが石と向き合うとき
 石のなかにある
 無限のものと
 わたしのなかにある
 無限のものを
 照合し
 重なり合うものを
 ことばとして
 表現するのだ
 わたしの中心に
 石が潜む
 日に日に色を
 変える石
 
 今日が瑪瑙なら
 明日は水晶
 
 石も時間を歩む
 石も生きている
 
 手を翳すと
 石の鼓動が聴こえる


 
 

 ※近作詩
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