『眼差し』/あおい満月
 
 君は遥かな天を目指す
 一頭の鷲

 孤高なるその瞳
 僅かに夢を携える
 鈍色の爪先

 雨のなかで
 しゃがみ込んでいた肩を
 浚われたわたしは
 
 君とともに昇っていく
 尊き高みへ

 なにかを
 奪うことなく
 争うことなく
 冒涜も破壊も
 望まない君が
 たったひとつ
 負けないもの

 眼差し
 君だけの
 かけがえのない
 強い光
 その光に
 恋をしたわたしは
 君の屍にかかった
 わたしを愛した

 わたしもやがて
 鷲になる
 飛翔する
 君とともに

 君を守りながら
 君と遥かなる
 光を目指す
 
 わたしに宿る
 君の眼差しを生かす
 闇の灯

   

 第三詩集・『絆』より

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