掏摸/アングラ少女
饐えゆく冬の海に
筒の発破する
持続する星団のために
あおげば烈しく廻りゆく鶸の翼の
引きつれそのかき鳴らした下で
しだいに深みを増してくる遠夜を
洲浜の腕輪のなかに捏ねる
鴉片と姦通で膨れた世界の母の宮殿
密かに木菟の野心が同衾している
海底に括りつけられた洞門は彩度と苦味を増し
再遊しのさばる醜女の朱唇から採取した蜜液を
喝采の反響が鳴りやまない胴乱に落としこむ
鋼鉄の精神が埠頭を越えて釈然とせぬまま
悦びをわかちあい住まった暗渠
一つ脈打って僅かのあいだ静まる
木菟の共謀によって子の塩をまかれた
宮殿の母が悲鳴をあげる
死んだ詩人に捧げられる波状の黙祷は終り
完全なる箱師の業と成す地平に
甦る詩人は爛れた素膚を結紮する
腕輪のなかで鴉片と精神の両性を捏ね
決して滅びない世界の母の宮殿を求めながら
饐えゆく冬の海に
筒の発破する
持続する星団のために
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