『真昼の月』/
あおい満月
月は
見えない音をたて
真昼の闇の滝を滑り堕ちていく
否
堕ちるのではない
昇るのだ
わたしを介してあなたへと
絶望に煌きながら
地の底の淵で
やがて幾人もの人間が
その微笑を踏み潰しても
切り堕とした刃の音と記憶は
とこしえに生きる
体温を失っても
あなたのぬくもりは
根深き奥まで響いている
終わりなきレクイエム
生のためのアリア
今昼 新たなひかりをあびて
あなたへと あるきだす
愛しいふくよかなぬくもりへ
第二詩集・『失調症』から
戻る
編
削
Point
(4)