『わたしへ』/あおい満月
遠くながい光よりも
今、あなたの目の前にある
一秒の光を
直視しなければ
あなたの壁は壊れない
あなたが逃げれば逃げるほど
壁の数は増えていく
わかってはいる、とあなたは云う
薬や携帯は
あなたが腰を下ろすためだけの
休憩室
けしてあなたを
守りはしない
あなたがもしも
変わりたいのならば
目を逸らすことを止めればいい
最初は言葉などいらない
しっかり目を上げて
首を振れば
それだけで
よろこぶ人がいるということ
片時でもいい
思い出して
あなたがなにかを 表現したい
のであれば
壁など作って
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