僕は見えないものは愛せないのです./Anonymous
 
青空が好きなんて、きみはっ!



心理学者はためいきをついた。


子猫の鳴き声が好きなんてなんということを!



心理学者は憤りを隠そうともしなかった。


好きな季節が春なんてぬけぬけと!



心理学者は匙を投げた。



今君はなにを考えてるんだい?

心理学者は頼むから、といった視線を投げかけてくる。


「彼女の唇に
 苺ジャムを塗るのと
 メイプルシロップを塗るの
 どちらがいいかな、と思って」

心理学者は残ったわずかな気力をふりしぼり、さらに続けた。


今君はなにが怖いんだい?

「あの無遠慮な
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