歪む空間/渡辺亘
 
しょうがない
もともと空間は歪んでいるんだから
認識しようとしても果てがない

今日は自転車で
Book offに行ったら
つぶれていた
しょうがない

と思ったら
妻に聞くと
移転しただけだという

こんな風に
現実というのは果てがない
なのに

現実をとらえようとする
私の欲望には果てがない
果てがない欲望を
焼いて焼いて
焼き尽くしても
まだ欲望が残る

この欲望はなんだろう
どこから出てくるんだろうと
考え尽くして
疲れ果てて
今日も眠りにつくんだろう
現実とは虹のよう
近づくと消える

こんな詩を書いている横で
妻は一心にテレビを見ている
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