永遠の塔 /服部 剛
 
こころに灯をともす 
不滅の手紙を書くだろう・・・ 


耳に聞こえぬ声を、聴く人よ 
あなたは風の遺言を通訳し 
目の前で涙する哀しい人を 
不滅の両手で包むだろう・・・ 


宮沢賢治は
「南無妙法蓮華経」と今も呟き 

フランシス・ジャムは
「恵みあふれる聖母マリア」と今も呟き 


風になった詩人の魂は 
今日も何処かで 
人のこころの幸いを願いながら 
(風の両手)を 
そっと重ね合わせる 

祈りはいつか 
何処までも積み重なり 
大地に立って仰いだ空に 
吸いこまれ、昇りゆく 

どんなに時が流れても 
決して消え去ることの無い 
仄かなひかりを帯びた 
(まことの人)
のように独り立ち 

天と地のあわいに透き通る、永遠の塔。 







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