涙の夕立/
百瀬朝子
あふれる涙
こぼれないように
空を見上げたはずなのに
見上げた拍子に
ぽろ ぽろ
両目から一粒ずつ
無色の涙は
夕日の朱色に染まって
こぼれた
目深にかぶった帽子
さらに深くして
とめどなく流れ出した涙を
目元ごと隠そう
学生服の自転車の影が
いくつも いくつも
私を追い越して
さみしい感情を
置いてった
私のところだけ
夕立みたいに
アスファルトは色を濃くした
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