アイについて感じたいくつかのこと/琉碧 翡翠
うか。
僕が産まれた年に降って以来なのか。
愛とはなんと不精なヤツめ。
そういえば、僕が産まれた頃は空も青かったと聞いたことがある。
太陽ももっと小さくて穏やかだったと。
その頃には、愛とやらがよく降ったのかもしれないな。
僕は窓辺で外を眺めながら、昔に思いを馳せた。
あの保護膜の向こう側が昔は青かったなんて、とてもじゃないが信じられそうに
もない。
「・・・ねぇお母さん、愛ってどんなもの?」
「・・・さぁね・・・お母さんも忘れちゃったわ。」
気象予報士の言うことが正しいのなら、明日になれば答えがわかるんだろう。
「明日は曇りのち愛、曇りのち愛が降るでしょう。」
僕はその夜、何故か、自分が生まれてきたときの夢を見た。
戻る 編 削 Point(0)