雨があがると/黒子 恭
 
 
うなだれた首を振って
どこにむかう、幾億の足音で
東京サボタージュが蔓延し
路上には、名残り
 
渇いたって無駄な服を着て
女と男は露になる
朝焼けから
どうしようもない夜までの間に
 
雨があがると
やけにすえたにおい
白線を越えた
自殺願望の馬鹿の匂いだ
ダイヤに組み込まれたままで
染みになればいい
 
この雨があがると
どこかの国で
戦争が一つ、終わればいいなと思う
思う日に限って
止まないのだけれど
この雨があがると
どこかの街で
報われない人が一人
救われたらいいなと思う
もうそろそろやみそうな空を見ている
 
アスファルトには
涙が溜まるか
下を向いてる人だけが気付くか
知る由はないけれど
雨があがると
少し、迷子で
路面の自分が
さみしそうな顔
 
 
 
 
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