猫の死/結城 森士
 
[猫の死]

信号機の、黄色い明かりが目を瞑ると
道路に赤い血液が広がっていた
瀕死の猫の目は、虚空をさまよいながら
何かを探しているようだった
わたしと目が合うと
何かを訴えるように瞳孔を開いた
その間も、赤い血液は広がっていた
その間も、信号機は瞬きを繰り返した
そしてその間、空はずっと蒼ざめていた





[夜の煙]

真夜中に来客があったので
寝返りを打ち
片目を開いて
片手で追い払った
この夜はもやもやとうつろう
煙草の煙のようだ





[白と黒の夢]

暗闇の中で
パソコンの明かりだけが灯っていて
わたしの部屋の中は
まるでモノクロの写真だ

夢の中で
逃げ遅れたサルバドール・ダリが殺された





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